時々、F1編を掲載しておりますが、これは顧客の要望で行っております。興味のある方のみご覧ください。
・プロトマシンRA-099
HONDA第3期F1スタート時に私がF1の部署にいました。当時は車体チームにいてHONDAのプロト車両があったわけです。当時は極秘で一切、他には漏洩できないマシンでした。その時は、BARホンダとしてF1に参戦しBAR(ブリティッシュ・アメリカン・レーシング)が車体を作り、エンジン供給のみホンダがおこなってきたからです。BARの社長などが研究所に来た時もこのマシンは私も含めて数人で隠しました(今は時効なので)。茂木サーキットでもテスト結果は、BAR製よりも速いDATAが出ており、当時はいろいろとありましたね。私自身、車体チームだったので、このマシンを完全に分解、組立などを行い、特に乾式クラッチもバラバラにしたりしましたが、作りは凄いものです。F1は基本的に、軽量で速く、壊れやすい物を作ります。なぜ壊れやすい物を作るか?これが最大のテーマでしょうね。一番はドライバー(レーサー)を守ること。クラッシュ時に基本的に壊れることより、衝撃を分散しドライバーへの負担を減らします。コクピット部はフルカーボンで凄い作りをしていますが、人間と燃料タンクが一体化されており、クラッシュすれば、燃料と共にどこかに吹っ飛びます。その為、燃えて爆発することはなくなることになります。2番目の理由として特にエンジンですが、レースでゴールカットした瞬間にエンジンが壊れることがベストなエンジンだといわれています。いわゆる過剰な作りをせずに最大限の目的にあわしたエンジンということになります。これは私の上司から教わったことです。上司もセナのメカニック経験もあるかたなので第2期のF1についてはいろいろと学ばさせていただきました。
・F1の構造
車の中でもシンプルな作りがF1マシン。ステアリングには当時、ダイレクトでありパワステではありません。今はどうかはしりませんが。そして、コクピット、エンジン、ギアボックスという順番でボルト4本で固定します。たった4本です。床のプレートはカーボンの勿論ハニカム構造で、ラジエターがつくだけ。上からボディーをかぶせて完成です。シンプルです。今ではギアボックスもカーボン製です。ギアは勿論金属ですけどね。
・エンジン始動は後方から浣腸して回します。ペダルは踏まなくても、ステアリングにイヤホンジャックを差し込んでピストル型で手でスロットルを上げ下げできます。その時にはPCにも接続してすべてモニターチェックはしますけど。簡単に言えば一人ではエンジンは始動出来ません。
・後退ギア
F1はバックができないイメージがあると思いますが、実はバックできます。これは私も当時知らず、ギアボックスを分解した時に気がつきました。なんと、ワンチャンスのみギアをいれることができます。これはステアリングでバックボタンを押せば、1回限りバックギアに入ります。なぜ、1回かというとエアータンクからエアーでギアを入れるからです。1回分しかエアーはありません。タンクの大きさも小さく、よくRC飛行機のエアータンク並みの大きさです。レースに勝つ為に必要な時に使うギアでしょう。
・組立、加工
今の私は模型ヘリ、飛行機を組立を行っていますが、これもHONDAで培った組立方法を元に行っております。ただのビスでも締めればよいものではありません。最大限にトラブルのリスクを減らせるように組立を行っております。その為、純正メーカー部品でも作りが悪い物は改善しております。
▼RA-009(プロト) 映像ででるステアリングのみで約500万、3mm特注ナットは1個500円くらいのものを使います。なので1台あたり10億くらいかかっているとも言われていました。それでは、ドライバーのハンドルミスで壊すと責められるわけですね。